国際グラ2001年8月号

「人と企業」
P66

俳優の江藤潤さんとの対談形式の取材でした。

突然日程が決まり、
何の準備もできなかったのですが、今日に至った経歴や、いつも
大切に思っている事等お話しました。その時の写真と掲載記事です。
どうぞご覧下さい!

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出会いと心のふれあいを大切に
良いきものを真心込めてお勧めしています

江藤 京きもの「あさみ」さんをお訪ねして、店主の朝見浩之さんに
お話を伺います。
京都で修業されたと聞いていますが。

朝見 ええ、京都の生糸間屋で8年間修業しました。生糸l俵は60kgの
重さとなり、それは持ちにくく苦労したものです。トラックl台分
の生糸を機屋さんへ納めるのですが、狭い階技を上り下りするのが
大変で最初の頃は筋内痛の連続でしたね。
それでも社長に可愛がって頭いたお陰でたくさんの方々とお会い
するうちに、出会いや人とのかかわりの大切さなどを学ぶことが
できました。

江藤 辛抱の甲斐あって社長の覚えもめでたかったというわけですね。

朝見 恐れ人ります。そして次に携わったのが外回り、つまり営業です
が、生糸の販売は織物の源流です。それだけに細かい値段のやり取りを
経て、どう利潤に結び付けるかが腕の見せどころとなりますが、利益の
追求だけにこだわっていてはお客様にこちらの真意が伝わらないことを
実感しました。その後地元の姫路へ戻り、知り合いの呉服屋へ就職した
のが30歳前です。

江藤 完成品のきもの販売を遂にスタートされたと。
これまで培われた手腕をいよいよ発揮する時ですね。

朝見 ところが地図と名簿を渡されただけで、すべて自分自身でお客様を
開拓するというもので最初の2カ月ほどは途方に暮れる毎日が続きました。
しかし、伺う曜日と時問を決め根気強く訪問させて頂くことで徐々に顔と
名前を覚えて頂き、顧客の幅を広げることができました。数年先を睨んだ
着実なセールスを心掛けるうちにお客様からお知り合いを紹介して下さる
ことも増え、景気の良かった頃だけに品物もたくさん売れましたね。

江藤 いわゆるバブルが弾ける前の景気が上向きの頃でしょうか。

朝見 はい。それでも若い仕代の方々のきもの離れは著しく、購入される
年代の偏りは既に見られましたね。その後は後輩に顧客をすべて譲り、
店長として社町にあるジャスコヘ移りました。

江藤 大型店舖の中にある呉服屋さんということで、今までと違い
お客様を待つ側になられていかがでしたか。

朝見 そうですね。共に働く仲間はパートの店員さんが多く、
今までのように顧客を開拓していた頃の意気込みに欠ける部分が
あり少なからず戸惑いを覚えたことも事実です。何よりスーパーで
良い品を購入するという考えに抵抗のある方が多いことも知りました。
“良いものを安く”をモットーにきものの度さを皆様にお勧めしたい
私としては次第にギャップを感じるようになり、以前のように自分から
お客様を探せる場所へ戻りたいと望む気持ちが大きくなったことから
平成10年に独立して今に至ります。

江藤 その際に店舗をお持ちにならなかったのは、じっと待つ形よりも
合理性を取られたためであると。不安はなかったですか。

朝見 ないと言えば嘘になるかも知れません。事実、携帯電話が
ぴたりと鳴らなくなり淋しい思いも味わいました。以前からの
お客様も1割弱となり、きもの販売に欠かせないクレジット会社の
契約に至っては懇意にしていたはずの信販会社からも申し込みを
断られる始末。つくづく駆け出しのつらさを思い知らされました。

江藤 平成に入ってからはパプルも弾け、どの業界も同じく苦しい
状態でしたからね。独立したばかりでしたら尚更でしょう。

朝見 しかし、だからこそこの商売を続けようとの決意に立つことも
できました。と言いますのも、この不景気によって付加価値を付ける
大手の大量販売に歯止めが掛かるようになるなど、かえって仕事が
しやすくなってきたのです。私どもの基本姿勢である“良い品物作り
と良い商売”が、じっくり選んで慎重に買い求めるという今の時代の
流れに合致し、ロコミとなって広がってきたと言えるでしょう。

江藤 なるほど。独立されて4年、どのような思いで歩んでこられた
のでしょうか。

朝見  念願叶って独立し、どちらかといえばこつこつと地道に前に
進んできたという感じですね。一つ一つの出会いを学びの場として
色々なことを吸収し、次のステップへ生かすように心掛けてきました。
とにかく繋がりがきっかけになる商売ですので。

江藤 ホームページも“出会い”という観点からお作りになったのですか。

朝見  ええ、今年に入ってから開設しました。当店の商品は問屋を
通さず人件費も掛かっていませんので、その分良いものをお安くお届け
できるというのが強みです。このことをより広く知って頂く手段として、
ホームページを通して私どものきものに皆様の関心が集まればと
期待しています。

江藤 きものというとアフターケアも大切ですよね。

朝見  はい。シミ抜きや丸洗いはもちろん、寸法直しなども承って
います。大島紬などの良いきものは仕立て直しをして長く受け継がれる
価値のあるものだけに、仕事としてもやり甲斐を感じると共に私どもに
お任せ下さったお客様の信頼に応えるため責住感も一層感じますね。

江藤 販売エリアとしては県内がメインになるのですか。

朝見  そうですね。京阪神を中心にご連絡があれば四国へもお伺い
させて頂きます。
いずれは店を構えることも考えていますが、大手と違い細やかな要望に
柔軟にお応えできる今までの商売方法を大切に、アイデアを一つ一つ
実現しながら店作りの上台を築いていきたいと思っています。

江藤 創意工夫で培ってこられたきもの販売のノウハウと誠意ある
応対で、これからもますます評判が広がっていくことを陰ながら応援しています。



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